こんにちは!投資マニアのさわです。
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「不動産投資には節税効果がありますよ!」などと、不動産会社の営業から勧められたことがあるのではないでしょうか。ただし、これは本当であり、嘘になることもあります。
その人の年収や家族、購入する不動産によっては、逆に増税になることも稀ではありません。
当記事では、ワンルームマンション投資で節税できる仕組みや範囲を収支シミュレーションでも解説します。節税が主目的ではない理由もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ワンルームマンション投資で節税できる?
ワンルームマンションの節税は、主に「所得税」「住民税」「相続税」に効果があります。不動産による家賃などの所得には、赤字分を他の所得から差し引ける「損益通算」が認められており、所有する賃貸物件の税務的財産評価は、時価の6割程度になるからです。
ここでは、主に所得税にフォーカスして、以下の点について解説します。
- ワンルームマンション投資の節税効果と仕組み、カラクリ
- ワンルームマンション投資の節税は嘘と言われる理由
- サラリーマンでも節税できるのか?
それぞれ、見ていきましょう。
ワンルームマンション投資の節税効果と仕組み、カラクリ
ワンルームマンション投資による節税には、以下の2つの効果があります。
- 税額を下げる効果
- 税金の支払時期を先延ばしにする効果
税額を下げる効果は、主に物件を取得した際に必要な諸経費と税金が所得から差し引けるため、その分所得が減収となるため、払い過ぎた税金の還付が受けられます。また、累進課税である所得税の税率が下がれば、その効果は大きくなるのです。
ワンルームマンションを購入すると、これら諸経費は物件価格の6〜8%程度かかります。例えば、3,000万円のワンルームマンションの場合、180万円〜240万円が必要です。
これら全額が経費として計上できるため、給与所得額から控除(損益通算)できます。
次に税金の支払時期を先延ばしにする効果は、建物や水回りなどの設備、内装といった固定資産を減価償却し経費として計上できるからです。
これら固定資産は物件の購入時点で既に支払済みのものとなるため、その後は支払っていないのに経費として計上できます。その分キャッシュが手元に残るのです。
ただし、耐用年数が経過するとこれら固定資産は減価償却できなくなり、その分が利益となりますから課税される時期を迎えます。そのため、税の先延ばし効果と呼ばれているのです。
ワンルームマンション投資の節税は嘘と言われる理由
ワンルームマンションを購入する初年度は、先述したとおり諸経費分の全額が経費となり損金算入できるため、間違いなく節税になります。
しかし、購入次年度からは購入時の諸経費はなくなり、以下の表にある収入と経費の見合いになります。
収入 | 経費 |
家賃 | 建物と設備の減価償却費 |
礼金 | 損害保険料(火災・地震保険) |
契約更新料 | 税金(固定資産税、都市計画税、事業税) |
建物管理委託費 | |
賃貸管理代行手数料 | |
共用部の水道光熱費 | |
ローンの利子部分 | |
経営にかかった通信費、書籍代、消耗品費、交通費、交際費 | |
弁護士・税理士報酬 | |
青色申告従事者への給料 | |
修繕費 | |
広告宣伝費・賃貸仲介手数料 | |
立ち退き料 |
収入がかかった経費よりも大きければ増税になり、小さければ減税になります。賃貸事業を営んでいる訳ですから当たり前です。
実は、平成28年(2016年)3月31日までは、減価償却費が定率法か定額法かどちらを採用するかが選択できました。
定率法では、早期に多額の減価償却費を計上できましたが、これが廃止され定額法による減価償却費しか計上できなくなったのです。つまり、償却資産の価値を耐用年数で均等に割った金額しか減価償却費にはなりません。
これが、ワンルームマンション投資の節税は嘘と言われる最大の理由です。しかし、節税効果は薄れたものの、まったく無くなった訳ではありません。
ただ、ワンルームマンション投資などの不動産投資では、節税を主目的に行うものではないと言えるでしょう。
サラリーマンでも節税できるのか?
結論からお伝えすると、サラリーマンでも節税は可能であり、むしろ近年の税制を見ていると給与所得者こそ節税するべきと言えます。
日本の所得税は下の所得税速算表のとおり累進課税です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁
そのため、サラリーマンの方で給料が上がったのに手取りはさほど増えなかったという経験をした人は少なくないでしょう。
例えば、課税所得額が900万円未満から900万円以上になると税率は23%から33%へと一気に10%も上昇するため、手取りが増えないのです。
このレンジにある人は、ワンルームマンション投資による節税効果を享受しやすいと言えるでしょう。
ワンルームマンション投資の節税のメリット・デメリット
ワンルームマンション投資の節税には、少なからずともメリットがあることが分かりました。しかし、デメリットもありますので、チェックしておきましょう。
税金対策のメリット
ワンルームマンション投資による節税では以下のメリットがあります。
「損益通算」が認められている
先述したとおり、現在の給与所得とワンルームマンション投資における帳簿上の損失を損益通算して所得を下げることで節税ができます。
減価償却費が認められている
こちらも先述したとおり、減価償却費により帳簿上の経費として計上できるため、その分がキャッシュフローとして機能します。
例えば、ワンルームマンションの購入諸費用のうち、建物の取得費用を複数年に分割して減価償却費として計上することもできますので、給与所得と税率の状況に応じて、一括経費とするか減価償却するかを選択すると良いでしょう。
キャッシュフローを不測の事態に備え貯蓄したり、運用したりできるので有利です。
青色申告で特別控除が受けられ経費の幅も広がる
個人事業を始めると確定申告を行う必要がありますが、ここで青色申告を選択すると最大65万円の所得控除が認められます。また、白色申告と比較して、自宅面積のなかの仕事場部分の家賃、通信費、光熱費などを按分して経費として計上可能です。30万円未満であればパソコンも経費で落とせます。
万一の事態に相続税が4割程度節税できる
不動産の税務評価は、時価の8割程度と言われています。さらに、賃貸不動産の場合は、税務評価額の7割程度の評価になるため、およそ時価の6割程度の税務評価額になると期待できます。
具体的な賃貸不動産の評価計算式は、以下のとおりです。
貸家建付地の価額 = 自用地としての価額 - 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合
詳しくは、国税庁「貸家建付地の評価」をご参照ください。
税金対策のデメリット
節税効果は続かない
ワンルームマンションを所有している間、いつまでも節税効果が続く訳ではありません。減価償却できる対象は、建物と水回り・電気設備、内装に分類されますが、償却期間は以下のとおりです。
- 建物(RC造):47年償却
- 水回り・電気設備:15年償却
- 内装:10~15年償却
建物は47年と長期ですが、水回り・電気設備、内装は10年〜15年償却となるため、償却期間が満了を迎えた後は、償却資産として計上できません。そのため大抵の場合、利益に転換してしまいます。
節税になればなるほど今後に影響も
ワンルームマンション投資の節税でデメリットになるのは、節税効果があればあるほど、帳簿上の赤字経営となります。今後も投資物件を増やしていきたいと考える場合には、資金調達が困難になることがあります。
ワンルームマンション投資の節税シミュレーション
ワンルームマンション投資で、どれくらい節税になるのかについて、年収500万円の給与所得者をモデルにシミュレーションします。
年収500万円の給与所得者のシミュレーション結果
年収500万円の給与所得がある人が、ワンルームマンション投資で節税できるのは、いくらかをシミュレーションしてみました。
シミュレーションの条件
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※電気設備・水回り設備は15年償却
ワンルームマンション購入初年度節税額
- 初年度の所得税節税額:87,440円
- 初年度の住民税節税額:136,880円
購入初年度の節税額合計:224,320円
ワンルームマンション購入次年度節税額
- 次年度の所得税節税額:41,998円
- 次年度の住民税節税額:41,999円
購入次年度の節税額合計:83,997円
このように次年度の節税額は、初年度の3割から4割程度に下がります。
確かに節税にはなりますが、資産形成という意味ではインパクトは弱いです。今回は年収500万円でシミュレーションしましたが、より高い年収であればよりインパクトが大きくなります。とはいえ、その数万~数十万円の節税のためだけに2,000万円のローンを組むのは手段と目的を履き違えていますが、、、、
やはり物件の値上がりだったりインフレ対策といった、不動産投資の本質を見て投資すべきですね。
ワンルームマンション投資の節税における注意点
ワンルームマンション投資で節税することを検討する際の注意点について、解説します。
ワンルームマンション投資の節税のみにフォーカスしない
節税シミュレーションでご覧いただいたとおり、ワンルームマンション投資による節税効果は、購入初年度にはあります。しかし、次年度からは家賃収入がまるごと増収になるため限定的です。
そもそも不動産投資は節税を主目的に行うものではなく、資産形成を目指す投資です。まったく節税効果がない株式投資やFXと比べると、節税できるのは有利ではあるもののあくまでおまけであると認識しましょう。
ワンルームマンションは売却益で数百万円の利益を目指すことも可能な投資です。売却益をさらに次の物件につぎ込むor他物件の繰上げ返済に利用する、一棟アパートの修繕費用に充てるなどで、さらに資産形成を加速できます。
ワンルームマンション投資の節税効果はおまけ、重要なのは収益性
ここまで、不動産投資の節税効果について解説しました。
年収500万円のシミュレーションでも見た通り、節税額は、実はそこまで大きい金額にはなりません。
というのも、ワンルームマンションでも数百万円の売却益が狙える中、数万円の節税額を頑張って追いかけるよりも、値上がりが期待できる物件選定、地域選定の方が重要であると言えるからです。
不動産投資において、資産形成で重要な要素は以下の3点になります。
- 購入する物件は、人気エリアに位置しているか
- 購入する物件の周辺の都市計画は、物件の将来価値をあげるものか
- 購入する物件は、少なくとも5年から10年賃貸需要が継続するか
ワンルームマンションを購入して節税はできたが、人気エリアでないために空室率が高いと家賃が思うように入らず、売却しても損失が発生してしまいます。
このように不動産投資は収益性が第一であり、節税効果はおまけと考えて取り組みましょう。
ワンルームマンション投資で節税できる?| まとめ
ワンルームマンション投資でどれくらい節税できるのか、仕組みやメリット・デメリット、シミュレーション、注意点まで解説しました。
給与収入が上がっても手取りが増えない対策として、ワンルームマンション投資はローリスクミドルリターンの投資になります。
しかし、節税ばかりに気を取られていると、肝心の物件選びが甘くなりがちで、収支のバランスが取れないなど、本末転倒の結果となってしまいかねません。節税を謳う不動産業者はむしろそこが狙いだったりしますが・・・
これら不動産投資の本質を重視して、取り組んでいただけましたら幸いです。