「思考は現実化する」!周りに流されず、自分の理想を思い描いて進むことが成功への唯一の道

アメリカでもっとも成功した実業家のひとりとされる鉄鋼王アンドリュー・カーネギー。この名前を聞いたことがある方は決して少なくないでしょう。

しかし、今回はこのカーネギーが主役ではありません。本記事では、彼からある奇妙な依頼を受けて大成功したナポレオン・ヒルの著書である「思考は現実化する」というベストセラー本について、独自の解釈を含めつつ解説します。

最新の日本語訳版は、<上><下>で合計772ページにも及ぶため、当記事ではその要点をまとめました。

「思考は現実化する」(ナポレオン・ヒル著)とは?

出典:Amazon

この書籍は、カーネギー氏とその周辺で成功した複数の人々にインタビューを行い、彼らの事例を探求して体系化し、成功哲学書としてまとめたものです。

1937年に初版が刊行され、日本語訳版は1984年に発刊されて以来、既に世界で1億部以上が読まれている歴史的ベストセラーとなっており、著者のヒル氏自身も大成功を収めています。

まず、ヒル氏が本書を出版するに至った経緯などを見てみましょう。

鉄鋼王カーネギーとの出会いと依頼

 

著者のナポレオン・ヒル(当時25歳の大学生)が、本書を出版するに至ったのは、実業家として既に大成功を収めていたカーネギー(当時73歳)から、新聞社で記者(フリー)としてインタビューをしたときに始まります。

このときヒルは、カーネギーから次の依頼を受けたのです。

  • 大成功を収めたカーネギーには、成功哲学を人類に残したいという願望があった
  • カーネギーが知る成功者500名以上の成功事例を客観的に分析して欲しい
  • 500名の成功者にはカーネギーが紹介状を書く
  • この依頼には少なくとも20年にわたる調査が必要だが、金銭的な支援は一切できない
  • この依頼を受けるか否か「Yes」か「No」かで答えて欲しい

 

カーネギーは「Yes」と1分以内に返答されない場合は断るつもりで依頼しましたが、ヒルは29秒で「Yes」と答えたそうです。

それまで同様の依頼を260名以上にしたものの、目に適う人物は現れなかったこともあり、「ぜひやってくれたまえ」と正式に依頼したと言います。

ちなみに、カーネギーは金銭的支援をしない理由について次のように述べたそうです。

「君には、既に私の成功黄金律を述べた、またこれから他の成功者やこれから成功するであろう人々にも会って話を聞ける訳だから、君が成功しない理由はない」

一見大胆過ぎるようにも思える内容であるにも関わらず、なぜヒル氏は承諾したのでしょうか。次は、ヒル氏の視点について見ていきたいと思います。

 

夢と現実のギャップ

カーネギーの依頼を受けることができたヒルが「Yes」と答えたのは、「透明人間が現れてYesと答えろと言ったから」と説明しています。

しかし、この依頼を受けたヒルの親類や友人は大反対、実弟からは「兄さんは狂っていると確信した」とまで言われました。

ただ、頭の良い継母が「お前なら必ず成し遂げられる」と後押してくれ、ヒルの妻も批判的ではあるものの、認めてくれたそうです。

ナポレオン・ヒルの決断

 

ヒルは、実弟や親類、友人から見下げられるなか、継母と妻の後押しを受け、この事業に取り組むことを決断します。

カーネギーが述べたように、これから成功しようとしている人々からも、さまざまな話を聞き、実際に事業や実生活にも取り入れ、成功の階段を登っていくのです。

「思考は現実化する」はスピリチュアルか?

 

この本は、万人に示す成功の哲学書として出版されました。その内容には、「願望実現」などの自己啓発的な要素が含まれており、スピリチュアルに感じる人がいるかもしれません。

しかし、実際は現状の願望を叶えるための思考を促すものというより、自己や自己が関わる事業の未来像を想像して、行動するための道しるべを示したものと言えるでしょう。

その意味で、昨今注目されている「ブレイクスルー思考」(本来の目的思考)にも通じるものがあるのではないでしょうか。

それでは、本書に記されている内容の要約をまとめましたので、見ていきましょう。

「思考は現実化する」要約

この本で述べられている成功哲学は、大きく分けると以下の3つの要素にまとめられています。

  • 成功を引き寄せるための6か条
  • 忍耐力を鍛える重要な8つの秘訣
  • 引き寄せの不安を克服するために「7つの基本的な不安」を知る

それぞれ見ていきましょう。

成功を引き寄せるための願望実現6か条

 

「思考は現実化する」ための基礎となる6つの行動です。

  1. 願望を具体的にはっきり思い浮かべる
  2. 願望得るために対価を差し出す
  3. 願望達成の「最終期限」を定める
  4. 詳細な計画を立て、準備よりも行動を優先する
  5. 上記の4つを紙に書き出す
  6. 寝る前と起床後の2回、紙に書いた内容を音読する

 

行動計画のように、「やらなければならないこと」からではなく、「やりたいこと」という願望から取り組むのが本書の特徴です。

また、詳細な計画は立てつつ、準備よりも行動を優先するのは、準備段階で壁を感じて諦めるよりも、行動して事実と向き合う方が目的に近づけるからだと思われます。

意外に難しいのが6の「紙に書いたことを音読する」ですが、これは日本の古神道にある言霊学でも言われていることなので、重要なのかもしれません。

忍耐力を鍛える重要な8つの秘訣

 

成功を引き寄せ願望を実現するためには、忍耐力が不可欠だと説いています。成功者たちは、いずれも強固な忍耐力の持ち主で、失敗を恐れず前進し続けた人々だそうです。

その秘訣として以下の8つがあげられています。

  1. 目標・願望の明確化
  2. 熱意を持った目標実現意欲
  3. 自信
  4. 計画の明確化
  5. 正確な知識
  6. マスターマインド
  7. 意志の力
  8. 習慣化

マスターマインドとは、ヒルが提唱した概念で「二人以上の、統一した願望や目標を持った人間の集まり」を持てという意味です。

加えて、願望実現6か条を含め、習慣化し継続することが重要と諭されています。願望が具体的であり、自身が本当に望んでいることが、忍耐力を支えることになるでしょう。

また、本書では「失敗は成功への一歩である」と、研究が成功するまで何万回と実験をやり続けたエジソンのエピソードが何回か引用されていました。

何より重要なのは、諦めずに継続し続ければ、途中で起きる失敗や敗北は成功のための階段に過ぎないということでしょう。

引き寄せの不安を克服するために「7つの基本的な不安」を知る

 

引き寄せの法則には、成功に向かう法則以外に、挫折や諦めを引き起こす法則もあります。つまり、成功を引き寄せる天敵ともいえる法則です。その要素には、以下の7つがあるとされます。

  • 貧困
  • 批判
  • 病気
  • 失恋
  • 自由
  • 老い

これらの不安要素は万人が持っていますが、対応次第では解決できる要素もあります。たとえば、貧困であれば常に貯金をして、無収入の時期が訪れても数ヶ月は耐えられる状況を作ることで、余裕が生まれると本書では述べています。

また、不安を感じるのは、主に疑惑と優柔不断が原因であり、「不安を克服できずに言い訳をして逃げてしまう」ことも、成功できない人間の共通点だそうです。

これらの点をみても、願望を強く、具体的に持つことで忍耐力が向上し、少々の不安には負けない自分が見出せるのではないでしょうか。

リーダーになるための11の重要な条件

 

「思考は現実化する」では「リーダーになるための11の重要な条件」が以下のように、記されています。

  1. 揺るぎない勇気
  2. セルフコントロール能力
  3. 強い正義感
  4. 強固な決断力
  5. 計画性を持つ
  6. 報酬以上の仕事をする
  7. 明るい性格を持つ
  8. 思いやりと理解
  9. 詳細を認知する
  10. 責任感を持つ
  11. 協調性がある

これらについては、企業の人事考課でも採用されているケースがあると耳にしますが、当記事では趣旨が異なりますので、割愛します。ご興味のある方は、本書をご購読ください。

「思考は現実化する」を実践する方法

この本に記されている成功法則には、さまざまな実践方法が考えられますが、ここでは本書に沿った筆者の解釈を以下の6つに分けて紹介します。

  • 願望の設定と信念、深層自己説得の活用
  • プラスアルファの努力をする
  • 調和の精神であたる
  • 信念の現実化をする
  • 自己規律で乗り切る
  • 自然の法則を知って活用する

願望の設定と信念、深層自己説得の活用

 

願望の設定で重要なのは、「自身が本当に望んでいるのか」という本質的な部分と共に、これを確信して信念にできているのかということです。

言い換えると、顕在意識か潜在意識に近いものかで願望の強さは変わります。この本に記されている願望実現6か条での願望を音読するというのは深層自己説得をするためであり、潜在意識を書き換える方法でもあるのです。

 

ただし、潜在意識を書き換えるのは通常容易ではなく、自分の状態が重要になります。たとえば、以下のような状態でなければ、潜在意識には上手く届かないでしょう。

  • とてもリラックスしている
  • 目の前の相手を心底信頼している
  • 感動して心を開いている
  • 寝る直前でウトウトしている
  • 朝起きたばかりで何も考えられない
  • よい香りにつつまれリラックスしている

このように深層自己説得(潜在意識の書き換え)には、顕在意識が働きにくい状態がベストであることが分かっています。

そういった背景から、本書では起床直後と就寝直前に「願望を音読する」ように奨めているのかもしれません。

プラスアルファの努力をする

 

仕事は、作業や行動によって指示者や依頼してきた人が期待する成果を示したり、成果物を納品することで成り立っています。投資業であれば、自分が目指した投資成果をあげなくてはなりません。

そういった前提のうえで「プラスアルファの努力をする」ということは、どんな内容の仕事であれ、期待された以上の成果を常に目指すということです。

ただし、義務的では長続きしない可能性があります。あくまで、自発的に楽しみながら行えることが重要です。

調和の精神であたる

 

自分の周りにはさまざまな人々が存在し、感情や価値観も十人十色です。そして、調和の精神とは、これらのさまざまな感情を完全に調和させることを意味します。

自身の明確な願望実現や目標に到達するには、起こり得る障害を取り除いていかなければなりません。そのため、すれ違いや勘違いから起こる小さなミスに目くじらを立てて調和を乱すよりも、目標の達成を優先してあたれば、大きな力になると本書では述べられています。

信念の現実化をする

 

この章冒頭の「願望の設定と信念、深層自己説得の活用」で述べた「信念」を現実化することも重要です。ただし、この信念が机上の空論ではなく、現実的なものでなければならないと本書では述べられています。

願望の設定をして、目標を含め信念が現実的なものかを検証する段階でもあります。ただ、もし非現実的だと感じられても、すべてを諦めてしまうのではなく、どうすれば現実的なものになるのか検討して、修正して継続しましょう。

自己規律で乗り切る

 

本書では、願望の一部が実現したとしても、おごることなく自己規律をもって目標を達成することを優先しましょうと述べられています。

成功を阻害する「7つの基本的な不安」では述べられていませんが、自身のおごり高ぶりも願望実現の阻害要素として認識すべきと考えられるので、注意が必要です。

自然の法則を知って活用する

 

この本が示している自然の法則とは、宇宙の法則のことです。人類も宇宙の法則により存在しているなかで、他の生物とは違い与えられた特別な能力があると論じています。

特別な能力とは、人間だけの環境を作り出すことができる能力とのこと。つまり、本能のまま行動するのではなく、「思考」により独自の習慣や環境を作り出すことができるのが、人間であると説いています。

たとえば、自分で運命を決めることができるのが人間であり、将来を築き上げる、目標を選択する能力が人間だけに備わっているとしています。

また、注目すべきは人には意識というパワーがあることです。人は不安や恐れを意識により乗り越えられる唯一無二の存在。誰しも素晴らしい能力を持っているのに、その能力を発揮しようとはせず、自分の思い通りの人生が掴めず落ち込んでいる人々が多すぎると指摘しています。

加えて、予期しないときに恵みやチャンスを与えてくれるのが大自然の法則であり、「できない」と卑下するよりも、器量があり用意もできているなら、チャンスは向こうの方からやってきますと本書は説いています。

願望や前向きな目標を掲げ、その達成のために心を尽くしてみましょう。

「思考は現実化する」を依頼したカーネギーの名言

出典:National Portrait Gallery

ここでは、ヒルに自身の成功哲学を伝え、他の成功者やこれから成功するであろう人を500名以上も紹介したカーネギーの名言をご紹介します。

カーネギーの名言から、彼がヒルに成功哲学書の作成を依頼したのは何故かも、見えてくるでしょう。

  • よりよい成果が得られるのは、自分が一番好きな仕事をしているときだろう。だから人生の目標には、自分が好きなことを選ぶべきなんだ。
  • 賢い人は、徹底的に楽天家である。
  • チャンスに出会わない人間は一人もいない。それをチャンスにできなかっただけである。

以上はほんの一部ですが、これらの言葉には、ヒルが記したことの重要な要素が含まれていることが分かります。もしさらに名言を知りたい方は、実際に本書を読んでみてください。

「思考は現実化する」はスピリチュアルか?|まとめ

本記事では、歴史的な功績を残した成功哲学書「思考は現実化する」はスピリチュアルかどうか、実践する方法なども解説しました。

かなり抽象的な概念であるので、なかなか理解が難しい部分もあるかもしれませんが、皆誰しも、人生を振り返れば「あれがそうだったのか」と思えるものはあると思います。

学生の頃の部活や受験、社会人なら仕事、恋愛なんかも当てはまるかもしれません。熱意を持って、その活動に誠心誠意邁進することで、自分の力だけでなく、周りの人物からの助けを得られたり、思わぬチャンスが巡ってくることがあります。

そして、それは投資においても同様に当てはまると考えています。自分が将来どうなりたいか、そのためには投資でどのくらいの成果を出さなければいけないのか。そう考えて動いていると、自分にピッタリの投資案件が巡ってきたり、投資家仲間ができたりと、周り方の助けやチャンスが巡ってくるでしょう。

こうした理想を実現する第一歩は『熱意』、『強い思い』です。

まずは自分が思い描く理想の姿をしっかり思い描くことが成功の第一歩になるでしょう。