稼働率95%の都内ワンルームマンションにサブリースは不要!それでも提案してくる業者は要注意!
不動産投資をする際に「サブリース」を利用することが一般化してきています。都内ワンルームマンションでもデフォルト(初期)で設定している会社も増加中です。
サブリースを簡単に言うと「家賃保証」になります。空室時でも家賃を保証してくれるという一見素晴らしいシステム。某大手不動産会社でも宣伝しているので、安心・安全なものだと思われがちです。
しかし、サブリースのメリットが発揮されるのは「空室が長期的に発生した時」のみになりますが、そもそも空室が長期的に発生する物件を購入すること自体、おかしな話です。
そこで今回は、東京都内でサブリースを組むことにメリットがあるのかどうか、入居率、収支の観点からお伝えします。
ぜひ、参考にしてくださいね。
サブリースの本質から都内では不要なことが分かる
結論から申し上げると、都内ワンルームマンションでサブリースを組む必要はありません。最初から都内ワンルームマンションでサブリースを勧めてくる業者がいたら、その物件、またはその業者が悪質だと捉えて良いでしょう。
そこで、以下の視点で検証してみました。
- サブリースはなぜ必要か?
- 入居率平均95%の都内ワンルームマンションにサブリースは必要?
- 老舗新築ディベロッパーから物件を購入すると入居率平均が98%にアップ!
- サブリースするかしないかで、収支に結局どれくらい差が出るの?
サブリースはなぜ空室率の高い物件にこそ必要
不動産投資のメリットは、不動産賃貸業から得られる家賃収入でローンの返済の殆んどを賄えることです。そのため、リスクは空室率の高さになることは誰もが理解しています。
そのリスクばかりにとらわれて、つい家賃保証という甘い言葉の響きに魅せられてしまうのです。多くの方が、家賃保証があれば計画的に返済ができると安易に考えてしまいます。しかし、実際はそんな甘いものではありませんし、むしろさまざまなトラブルに巻き込まれるリスクの方が高いです。
また、サブリースは都心や都市部ではなく、地方の遊休地を活用してアパート経営をはじめるコンセプトに必要とされ導入されてきた経緯があります。つまり、空室率が高い物件が対象です。
東京都内のワンルームマンションの平均入居率は95%以上※と言われています。空室率は平均5%と言い換えることもできます。95%は一般的にみてもかなり高い稼働率ですね。
(※公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 賃貸住宅市場景況感調査より)
それでは、5%でも空室の可能性がある場合は、サブリース契約をした方がお得なのかどうかを数値的に検証してみましょう。
入居率平均95%の都内ワンルームマンションにサブリースは必要?
まずは都内ワンルームマンションの主な特徴を5つ挙げます。途中、計算が出てくるため、こちらを前提にして読み進めてもらえると理解しやすいかと思います。
以下のCheck Pointを意識して頂けると意外に知られてないことまで分かります。
<Check Point>
|
都内ワンルームマンションの平均空室率は5%
東京都内のワンルームマンションの入居率は平均95%です。つまり、空室率5%と言い換えられます。
でも、空室率に5%の可能性があるなら、多少高い手数料を払っても、空室率0%のサブリースを組んだ方がリスクがないのでは?と、用心深い方がいるといけないので、空室率5%がどれくらいの日数に該当するのかを計算してお見せしましょう。
日数になおすと2年間で約1ヶ月空室になっている計算になる
この5%を日数に直してみると、365日×5%=18日だということが分かります。つまり空室率5%とは、2年間で36日間ということになります。ということは、2年間の契約期間の中で、約1か月間空室になる可能性があるという計算になります。
賃貸物件は必ず退去が出るもの
賃貸マンションを借りたことがある方ならお分かりになると思いますが、マンションは2年契約が一般的です。つまり、2年に1度、入居者が更新または退去を考える時期が必ず来るのです。住み続ける場合は更新料を支払い、更新しない場合は退去となります。
1ヶ月とは退去→修繕→入居までにかかる平均的な時間
退去となった場合、入居者が引っ越し、原状回復(修繕)をし、次の入居者が入居できるように準備します。その状態になるまでに約3週間〜1ヶ月かかります。つまりこの空室率5%(2年間で約1ヶ月)という数字は、単純に退去・修繕・入居に必要な1ヶ月と捉えて良いでしょう。
賃料の発生しない1ヶ月は礼金でカバーできる
また、空室期間が1ヶ月しかないということは、すぐに次の入居者が決まっているという証でもあります。そして、新しい入居者が決まれば、礼金を1ヶ月分支払ってもらうのが都内では一般的です。
つまり、空室だった1ヶ月分の家賃はほぼ礼金でカバーできてしまうのです。
つまり、サブリースは不要ですね。
しっかりした管理会社を選べれば入居率平均が98%にアップ!
都内のワンルームマンションの平均入居率は95%ですが、仕事が早い管理会社に依頼ができれば98%をキープすることもできます。退去が出た場合に、迅速に原状回復工事の手配をしてくれるからです。
そうすると、修繕にそこまで日数を取らず、2週間程度で次の入居者を入居させることが可能になります。このようなことから、入居率98%という高い数字が保てているのです。
つまり、都内ワンルームマンションは空室で家賃収入をロスすることがほぼないと言えます。この時点で、サブリースが不要なことが明確ですが、念のため都内でサブリースを組んだ場合と、そうでない場合の収支にどれくらい差が出るのかを比較していきます。
サブリースするかしないかで、収支に結局どれくらい差が出るの?
項目 | 一般管理 | サブリース契約 |
家賃収入 | 10万円 | 9万円(保証) |
管理手数料 | 5%
5,000円 |
10%
9,000円 |
礼金 | 10万円
(家賃1ヶ月分) |
0円 |
年間家賃収入 | 120万円 | 108万円 |
年間管理手数料 | 6万円 | 10.8万円 |
年間収支※1 | 124万円 | 97.2万円 |
年間収支差額※2 | – | – 26.8万円 |
※1 年間収支とは、賃料+管理費+礼金1回分の単純合計でローン・積立金は除きます。
※2 年間収支差額は、一般管理の年間収支からサブリースの年間収支を差引いた金額。
上の表は、家賃が月10万円取れる物件での比較です。一般管理の場合は、設定した家賃10万円が収入になり、そこから管理手数料が5%引かれます。
一方、サブリースの場合はサブリース会社が入居者を付けやすくするために低めに家賃設定をします。この物件だと9万円です。つまり実際取れるはずの賃料の8〜9割しか収入にならず、更に賃料の10%が手数料として引かれます。
収入、手数料、礼金のあり・なしの違いから一般管理とサブリース契約では年間26.8万円の収支の差が出るのです。
これが空室ばかりの物件でしたらサブリース契約をしたメリットがありますが、前半でお話した通り、東京都内は空室になることがほぼありません。つまり、オーナーにメリットは一切ないのです。老舗新築ディベロッパーから買っていればなおさらです。
仮に空室が出たとしても、年間で2.7か月(81日)以上の空室が出ない限り、マイナスにはなりません。このことからも、都内ワンルームマンションにサブリース契約が不要なことがお分かりいただけましたでしょうか。
都内ワンルームマンションでサブリースを組んでメリットがある人ない人
都内ワンルームマンションでサブリースを組んでも良いのは楽したい人のみになります。少しでも損したくない・稼ぎたい人は集金代行(一般管理)にするべきです。
ただ、都内の物件にサブリースを組んでメリットがあるケースもありますので、チェックしましょう。
サブリースを組んでもメリットがある人
都内のワンルームマンションでもサブリースをすることにメリットがあるのは都内にワンルームマンションを10部屋以上を持っていて「管理を楽にしたい人」です。
10部屋以上持つと、管理会社から確認事項や報告の電話が週に何件か、かかってくるようになります。一時的に本業が忙しく、このような面倒から解放されたい方は、サブリース契約を結んでもよいでしょう。
ただし、先述したとおりサブリースはロスコストになります。トラブルを避けるためにも、例えば2年間で契約満了する形で入居者の選定にも参加できるなどの特約事項を設けることをおすすめします。
都内の10部屋をまとめて契約するといえば、これらの条件をつけ家賃保証90%でも、のってくる業者もあるでしょう。
サブリースを組むとデメリットになる人
先ほどの収支計算のとおり、サブリースは多額のロスコストを覚悟しないと契約できません。そのため、少しでもキャッシュフローが欲しいと考えている方は契約しないことです。
また、サブリースを組んでしまってから解約しようとすると、半年以上前の通知義務や、法外な解約金を請求されてしまう可能性があります(2年間分の手数料を違約金としている業者もいます)。
一般管理委託契約は本業が忙しく対応できないという場合は、報告は電話ではなくメールでしてもらえば、対応できるのではないでしょうか。
また担当者が信頼できそうならば、設備機器の故障修理費用の数万円の範囲では、一定の権限を与えておいても良いでしょう。
都内ワンルームマンションにおいては、そもそもサブリース契約を結ばないことが賢明です。
まとめ
サブリースは一見オーナーにのみメリットがあるサービスとみられますが、実は業者しか儲からない仕組みになっているため注意が必要です。
また、冒頭でもお伝えしたとおり、、サブリースは例えば農業を辞めて不動産賃貸業に転業するような賃貸需要が低い地方の物件が主流です。本来、放置しておけば、一部が数ヶ月以上も空室状態になる一棟物件のためにあります。
ところが、せっかく都内の空室率5%未満の一等地にある物件を購入したのに、ローン金利よりも高い料率の7〜15%もの家賃保証料を払っていたのでは、ある意味投資に失敗していると言えるかもしれません。
また、サブリースに依存しなくてもよい空室率が限りなく低くなる物件の取得に努めることが大切です。そうすることで問題だらけのサブリースのお世話になることなく、売却したいときも楽に出口戦略・戦術がたてられるようになるでしょう。